テニ衛門歌舞伎テニス【カブテニ】

コラム 2026-10-02

プロテニス選手って、どうやって稼いでるの?

テレビで見るトップ選手の優勝賞金は、桁が違います。では、世界ランキング100位台、300位台の選手はどうやって生活しているのでしょうか。日本人プロ150人の実際の数字をもとに見ていきます。

収入は、大きく5つ

プロテニス選手の収入源は、大きく分けて5つあります。

いちばんわかりやすいのは大会の賞金です。勝ち上がった分だけ増え、負ければその時点で終わります。2つ目はスポンサー契約で、所属先や用具メーカーとの契約がこれにあたります。3つ目はレッスンやイベントの仕事。教える仕事やイベントへの出演などです。

残りの2つはツアーの仕組みによるものです。ATPの最低保証は、賞金が足りない分をATPが補うもの。ツアーのボーナスは、成績上位の選手への上乗せや、利益の分配です。

こうして並べると収入の道はいくつもあるように見えます。ただ、その中心にあるのはやはり賞金で、その賞金は出られる大会によって大きく変わります。

ランキングで、戦う舞台が変わる

テニスの大会はピラミッドのような構造になっています。上に行くほど賞金もポイントも大きくなり、どの段に出られるかはランキングで決まります。男子の場合の目安は次のとおりです。

頂点のグランドスラム(4大大会)に出られるのは、世界1位から250位あたりまで。その下のATPツアー(マスターズ1000・500・250)は1位から150位あたり。チャレンジャー(CH50〜CH175)は60位から600位あたりで、いちばん下のITFワールドテニスツアー(M15・M25)には400位あたりからランキングのない選手までが出ます。

出場選手のランキングはあくまで目安で、大会のレベルや時期によって変わります。それでも、自分のランキングがそのまま「どの舞台で稼げるか」を決めている、という構造は変わりません。

ウィンブルドンで、勝ち進むと

ピラミッドの頂点、2026年のウィンブルドンのシングルス賞金を見てみます。1回戦で負けても約1,600万円。ベスト16で約6,000万円、ベスト8で約9,600万円になります。

そこから先は一気に跳ね上がります。ベスト4で約1.8億円、準優勝で約3.6億円、優勝すれば約7.2億円です。1回戦負けと優勝の差は、およそ45倍にもなります。

大会によって、桁が変わる

同じ男子シングルスでも、大会の段が下がると賞金の桁が変わります。

グランドスラムの全豪オープンは、優勝で約4.2億円、準優勝で約2.2億円、1回戦負けでも約1,500万円です。ジャパンオープンなどのATP500になると、優勝で約6,569万円、準優勝で約3,535万円、1回戦負けは約274万円になります。

チャレンジャーのCH125では、優勝しても約505万円。準優勝は約296万円、1回戦負けは約34万円です。一番下のプロ大会であるITFのM15では、優勝で約32万円、準優勝で約19万円、1回戦負けは約23,400円まで下がります。

単純に割ると、ウィンブルドンの1回戦負け1回分の賞金は、M15で優勝する50回分にあたります。国内では、日本一を決める全日本選手権の優勝が300万円、準優勝が150万円、1回戦負けが6万円です。

日本人プロ150人の、生涯賞金

では、日本人選手は実際にどれくらい賞金を得ているのでしょうか。ATP・WTAの公式記録で通算賞金のデータがある日本人プロ150人を並べてみます。

いちばん稼いだのは錦織圭で、約39.3億円です。ところが、150人のちょうど真ん中にいる選手の生涯賞金は約700万円まで下がります。さらに、3人に1人は150万円未満です。

これは1年の賞金ではなく、キャリア全体を通しての合計です。トップの数字だけを見ていると、プロテニス選手の現実はまったく見えてきません。

しかも、出ていくお金が多い

賞金は「もらえるお金」にすぎません。選手はそこから、活動にかかる費用をすべて自分で払います。

主な出費は、遠征の飛行機代、ホテル代、ガットや用具の費用、コーチやトレーナーへの支払い、大会のエントリー料です。海外遠征を中心に活動する場合、目安は1年で約1,000万円。コーチやトレーナーが帯同すると、その倍以上になることもあります。

生涯賞金の真ん中が約700万円という数字と並べると、1年分の経費にも届かないことになります。賞金だけで続けられる選手がどれほど限られているかがわかります。

賞金だけで食べていけるのは、ほんのひと握り

賞金だけで生活できるのは、ピラミッドの上のほうにいるごく一部の選手です。それ以外の選手にとっては、スポンサー契約やレッスン・イベントといった賞金以外の収入が、活動を続けるための大きな支えになります。

だからこそ、選手の名前が知られることには意味があります。名前が知られればスポンサーにつながり、スポンサーがつけば「次の大会」に出られる。試合結果を追い、選手の名前を覚えることは、見る側にできる小さな応援でもあります。

※ウィンブルドンの賞金は2026年ウィンブルドン公式の賞金表。1ポンド200円換算です。

※大会ごとの賞金は男子シングルス。全豪2026公式、ジャパンオープン2026・チャレンジャー キャンベラ(2026年1月)のドロー表、ITF規程(2026年版)、全日本選手権2026大会要項によります。1ドル150円、1豪ドル100円換算です。

※大会に出場する選手のランキングは男子の場合の目安で、大会のレベルや時期によって変わります。

※生涯賞金はATP・WTA公式の通算賞金(2026年9月26日時点)で、賞金データがある日本人選手150人が対象。1ドル150円換算です。

※年間の経費約1,000万円は、海外遠征を中心に活動する場合の目安です。

出典・参考

  • ウィンブルドン 2026年 公式賞金表
  • 全豪オープン 2026 公式賞金
  • ジャパンオープン2026・チャレンジャー キャンベラ(2026年1月)のドロー表
  • ITF規程(2026年版)
  • 全日本選手権2026 大会要項
  • ATP・WTA公式 通算賞金(2026年9月26日時点)