コラム 2026-10-23
大学王座2026 ガイド 出場校・試合形式・連覇の記録と、大学を出て世界で戦うプロ

大学テニスの団体戦の日本一を決める「大学王座」が、2026年10月21日から25日まで、愛媛県総合運動公園テニスコートで開かれています。男子は第80回、女子は第62回。大学の部活の大会と思われがちですが、ここから世界で戦うプロが何人も生まれています。大会のしくみと記録、今年の見どころを整理し、大学を経てプロになった選手たちを紹介します。
大学王座とは
正式な名前は「全日本大学対抗テニス王座決定試合」です。全国の地域リーグを勝ち抜いた大学のテニス部が、男女それぞれ10校ずつ集まり、5日間のトーナメントで団体戦の日本一を争います。優勝校には文部科学大臣杯が贈られます。
個人戦の日本一を決めるのが夏のインカレ(全日本学生選手権)なら、大学王座はチームとしての日本一を決める大会です。選手にとっては、部員全員で戦う1年の集大成にあたります。
出られるのは、地域リーグの勝者
大学王座に出るには、まず各地域の大学リーグで上位に入る必要があります。出場枠は関東と関西が2校ずつ、北海道・東北・北信越・東海・中国四国・九州の6地域が1校ずつです。関西は大学対抗リーグ1部の上位2校が出場します。
シードは前の年の大学王座の成績で決まります。地域リーグを勝ち抜いた大学でも、組み合わせ次第では1回戦から強豪とぶつかることがあります。
1日で、単複すべてを戦う
1つの対戦は1日で決まります。男子はダブルス3本とシングルス6本の計9試合で、先に5勝した大学の勝ち。女子はダブルス2本とシングルス3本の計5試合で、先に3勝した大学の勝ちです。
シングルスは3セットマッチ。ダブルスはノーアド方式で、セットオールになると10ポイントのタイブレークで決着をつけます。同じ選手がダブルスとシングルスの両方に出ることもできます。それでも男子なら9試合のうち5つを取らなければならず、エースが2勝しても、残りの選手が勝たなければチームは勝てません。層の厚さが問われる大会です。
2026年の出場校
今年の出場校とシードは次のとおりです。準決勝は10月24日、決勝は10月25日の予定です。
- 男子:早稲田大(第1シード・関東1位)、法政大(第2シード・関東2位)、近畿大(第3シード)、関西大(第4シード)、松山大、新潟医療福祉大、北海道大、東北学院大、愛知学院大、福岡大
- 女子:関西大(第1シード)、亜細亜大(第2シード・関東1位)、早稲田大(第3シード・関東2位)、甲南大(第4シード)、福島大、鹿屋体育大、新潟医療福祉大、松山大、名古屋経済大、北海道大
連覇の記録
大学王座の歴史で目を引くのが連覇の記録です。男子の早稲田大は2005年から2022年まで、2020年の中止をはさんで17大会続けて優勝しました。この記録を止めたのは2023年の慶應大で、46年ぶりの優勝でした。
女子では、園田学園女子大が1977年から1991年まで15連覇、早稲田大が2006年から2018年まで13連覇しています。
ここ10年で、勢力図が動いている
2016年から2025年までの優勝校を見ると、男子は2022年まで早稲田大が勝ち続けたあと、2023年に慶應大、2024年と2025年に日本大が優勝しました。女子は2018年まで早稲田大、その後は筑波大と慶應大が交互に頂点に立ち、2025年は関西大が初優勝しています(2020年は中止)。
長く続いた早稲田の時代が終わり、男女とも毎年のように優勝校が入れ替わる時期に入っています。
2026年の見どころ
男子は、第1シードの早稲田大が4年ぶりの優勝をねらいます。関東リーグでは筑波大との全勝対決を8-1で制して1位通過しました。早稲田には、2026年の全日本学生室内選手権のシングルスを制した本山知苑(男子)と小髙未織(女子)もいます。
女子は、2025年に初優勝した関西大が第1シードで、初の連覇に挑みます。地元・愛媛の松山大は男子1回戦で新潟医療福祉大に8-1で勝ちました。
大学を出て、世界で戦うプロ
大学テニスは、プロへの遠回りではありません。いまATP・WTAの世界ランキング(シングルスかダブルス)に名前のある日本人選手のうち、大学に進んだ選手を数えると、国内の大学だけで41人いました。
日本テニス協会のプロ登録者は公開されておらず、誰がプロ登録しているかを調べる方法がないため、ここでは世界ランキングに名前のある選手を載せています。載っていない選手もいます。大学ごとに、年齢の高い順に並べました。
- 早稲田大:片山翔、今井慎太郎、小倉孝介、島袋将、白石光、青山修子、桑田寛子、清水映里、倉持美穂、吉岡希紗、宮田萌芳
- 慶應大:上杉海斗、今村昌倫、羽澤慎治、永田杏里、佐藤南帆、大橋麗美華
- 筑波大:川橋勇太、森崎可南子、阿部宏美、吉本菜月
- 亜細亜大:熊坂拓哉、高見澤岳飛、堀内竜輔、松田美咲、山﨑郁美、中島美夢
- 関西大:野口政勝、柴野晃輔、松田康希
- 法政大:柚木武 / 中央大:望月勇希、正林知大 / 日本大:小泉熙毅、高悠亜 / 近畿大:田口涼太郎、松田龍樹 / 明治大:西脇一樹
- そのほか:加治遥(園田学園女子大)、芝田詩歩(山梨学院大)、西本聖良(姫路大)
アメリカの大学から、プロへ
アメリカの大学(NCAA)でプレーしてからプロになる道もあります。奨学金を受けながら試合と勉強を両立し、卒業後にプロツアーへ進む選手が増えています。世界ランキングに名前のある選手を、年齢の高い順に並べました。
- 松井俊英(BYUハワイ校)、荒川夏帆(ワシントン大)、柴原瑛菜(UCLA、在学中にプロ転向)、トゥロター・ジェームズ(オハイオ州立大)、ビツウンテアン零朗(カールトン大)、佐藤光(ワシントン大)、菊地裕太(UCバークレー)、佐藤央彌(サンディエゴ州立大)、宮本愛弓(オクラホマ州立大)、三井駿介(テネシー大)、駒形怜哉(タルサ大)、内島舞子(ペンシルベニア州立大)、フレンド・ジェイ(アリゾナ大)、三好健太(イリノイ大)、松岡修(アリゾナ州立大)
四大大会の舞台でも、日本一の舞台でも
大学を経た選手は、四大大会でも結果を残しています。早稲田大出身の青山修子は2023年の全豪オープンのダブルスで準優勝し、ウィンブルドンのダブルスでは2013年・2021年・2026年にベスト4に入りました。UCLAでプレーした柴原瑛菜は2022年の全仏オープンの混合ダブルスで優勝しています。早稲田大出身の島袋将は2023年のウィンブルドンで予選を突破して四大大会の本戦に初めて出場し、2026年にはシングルスで自己最高の世界87位まで上がりました。
全日本選手権(2006〜2025年)の優勝者にも、大学を経た現役選手が13人います。青山修子(早稲田大)、片山翔(早稲田大)、桑田寛子(早稲田大)、森崎可南子(筑波大)、今井慎太郎(早稲田大)、上杉海斗(慶應大)、加治遥(園田学園女子大)、今村昌倫(慶應大)、柚木武(法政大)、田口涼太郎(近畿大)、野口政勝(関西大)、山﨑郁美(亜細亜大)、そしてBYUハワイ校を出た松井俊英です。
今年の大学王座のコートにも、未来のプロがいるはずです。準決勝は10月24日、決勝は10月25日に行われます。
※出場校・シード・試合形式・日程は全日本学生テニス連盟の大会要項・トーナメント表・パンフレット(2026年)による。
※早稲田大男子の17連覇は、2020年の大会中止をはさんで17大会連続の優勝。
※大学出身のプロは、ATP・WTAの世界ランキング(シングルスかダブルス、2026年10月)に名前があり、大学に進んだ(卒業・中退)ことを所属先・大学テニス部・日本テニス協会の資料などで確かめられた選手。在学中の学生と実業団の社員選手は除いた。
※全日本選手権の優勝は、日本テニス協会の記録(2006〜2025年)で確認できた現役選手。
